データ復旧内容によっては成功報酬型が良いとは限らない

最近では日本全国の顧客を対象としたデータ復旧サービスでも『成功報酬型』をキャッチフレーズにした会社が増えてきました。逆に、『成功報酬型』以外のデータ復旧サービスなんてあるの?と思われるかもしれませんが、これには訳があります。

というのも通常、ユーザーが作成したデータは1個や2個ではありません。数百、数千ファイルなら、まだ少ない方です。数万枚のファイルを作成し、パソコンやUSBハードディスクに保存しています。『成功報酬型』では数ファイルのデータを復旧希望している場合には有効ですが、数千、数万枚のファイルの復旧希望している場合には向いていません。

一見、『成功報酬型』はユーザーにとって耳触りの良い響きがありますが、すべてのデータ復旧希望者に向いている訳ではない特徴があります。

詳しくは下記に記載いたします。

データ復旧業者のタイプ

データ復旧業者には主に4つのタイプがあります。

  1. 成功報酬型で料金前払い
  2. 成功報酬型で料金後払い
  3. 復旧可能な全データの復旧型で料金前払い
  4. 復旧可能な全データの復旧型で料金後払い

『成功報酬型』には、前払いタイプと後払いタイプがあります。前払いタイプは「成功定義データ」をユーザーと業者間で取り決めた後に、一度、全額を支払います。「成功定義データ」のうち1つしか復旧できなかった場合、復旧希望データ復旧成功費0円?20万円程度を除いて、ユーザーに返金されます。

後払いタイプは主に法人向けに提供されるケースがほとんどですが、支払額は前払いタイプと同じです。

『成功報酬型』は特殊なプログラムで作成した少数のデータ復旧に向いています。フォルダ名やファイル名、保存場所、拡張子など正確に覚えている場合に有効です。

一方、「復旧可能な全データの復旧型」は、大量のデータ復旧に向いています。またはフォルダ名やファイル名、保存場所、拡張子など正確に覚えていない場合に有効です。例えば、2TBのUSB外付けハードディスクがあり、その容量いっぱいにデータを保存していたのに、机の上から落としてしまった場合などに向いています。

保存してあった全データの復旧を希望する場合に「復旧可能な全データの復旧型」のサービスを利用する価値があります。

但し、「復旧可能な全データの復旧型」であっても、リストやサンプルデータチェックなどを受け取る前に、前払いの必要がある業者は止めておいた方が無難です。そのような業者の場合、多くのケースで「復旧の可否に関わらず5万円はかかります」という話をされます。全国のお客さんを相手にしているデータ復旧会社ではそのようなところは少ないのですが、地元のパソコンショップや中古パソコン販売店など集客が地元だけの業者に、この復旧可能な全データの復旧型前払いタイプが多くあります。

このような会社は技術もクリーンルームもないので、元々物理障害や重度障害には対応できませんが、地元には少なからず需要があるため、復旧可能な全データの復旧型前払いタイプとして存在しています。

データ量が多く、フォルダ名やファイル名は忘れてしまったけど、ともかく保存してあったデータを可能な限り復旧したい人に一番向いているのが、「復旧可能な全データの復旧型後払いタイプ」です。中でも、「復旧可能なデータファイル一覧」の作成と提出、「サンプルテスト」のチェック報告などを見積もり時に提出してくれる業者がおススメです。

また、通常、多くのデータ復旧サービス会社では、クリーンルームを使ったりする精密検査費用が有料だったりしますが、中には無料で対応してくれる業者もあるので、物理障害の場合は特に、精密検査費用も無料でサービスしてくれる業者を選ぶと良いでしょう。

クリーンルームやクリーンブースの設置例

復旧したいデータ量によっても違いますが、一般的におススメのデータ復旧サービスタイプは次のようになります。

  1. 復旧可能な全データの復旧型前払い
  2. 成功報酬型後払い
  3. 復旧可能な全データの復旧型後払い
  4. 成功報酬型前払い

まずは、自分が依頼した方が良いデータ復旧サービスのタイプを検討します。万が一、良く分からない状況で調査を依頼してしまった場合、後からでもどのタイプに属する業者なのか電話などで細かく確認しましょう。

成功定義データの記載には要注意!?

『成功報酬型』の肝は「成功定義データ」または「成功定義ファイル」と呼ばれるユーザーが復旧希望しているデータのファイル名を書く欄にあります。本当は正確なフォルダ名やファイル名を書くことが基本ですが、多くの場合、正確なフォルダ名やファイル名は覚えていないことがほとんどです。

そのため、大まかなフォルダ名やファイルの種類を書いてしまう人が多くいますが、それでは、そもそも『成功報酬型』のデータ復旧サービス業者に依頼する意味がありません。この『成功報酬型』では曖昧な「成功定義データ」を書いて契約してしまうと、ユーザー側が損をするからです。

また、成功定義データの但し書には通常次のような一文があります。

『成功定義データ』が一つも復旧できなかった場合、一切の費用が無料になります。

これは、次のような意味になります。『成功定義データ』に記載したデータが一つでも復旧できた場合、有料になります。具体的には『成功定義データ』に記載したデータが一つでも復旧できた場合、見積書に記載された「復旧希望データ復旧成功費」以外の項目すべての合算費用をお支払い頂きます。

「復旧希望データ復旧成功費」以外の項目費用は容量や障害内容によっても違いますが、10万円から40万円ほどになります。つまり、これらの費用は「成功定義データ」に書いたフォルダ内のデータが1つでも復旧した場合には支払う必要が出てくるのです。

でも、「請求書や後払いタイプなら、支払いを拒めば良いのでは?」と思うかもしれませんが、そういう訳にはいきません。毎日、連絡してくる担当者が変わりながら、あなたに支払いを催促する電話をかけてきます。最終的に、支払いを拒み続けると、弁護士から内容証明が届くことでしょう。

『成功報酬型』データ復旧サービスの場合、「成功定義データ」の記載箇所に曖昧なフォルダ名やファイルの種類を書くことは危険なんです。繰り返しになりますが、『成功報酬型』データ復旧サービスはフォルダ名を正確に覚えている場合や復旧したいデータが少量の場合、または特殊なプログラムやオリジナルのプログラムで作成したデータを復旧したい人にはメリットがあります。

逆に言えば、それ以外の人には残念ながらメリットどころかデメリットしかありません。

復旧希望データ復旧成功費とは

復旧成功率に応じて、値引きが見込める項目です。逆に言えば、この記載項目以外は1つでもデータが復旧されるとユーザーに支払義務が生じます。通常は下記のように3個から5個くらいの項目が記載されています。

  1. 解析作業料金
  2. 修復作業料金
  3. 復旧希望データ復旧成功費
  4. 復旧先メディア料金
  5. 送料

?の「復旧希望データ復旧成功費」は0円?200,000円と記載されているケースが一般的です。
?解析作業料金や?修復作業料金は依頼品メディアの容量や障害内容によって大きく違いますが、通常100,000円?300,000円と記載されているケースが多いでしょう。

つまり、『成功定義データ』に記載されたデータが一つでも復旧できた場合「復旧希望データ復旧成功費」は0円に減額されることはあっても、その他の項目はすべて支払う義務が生じます。

例えば、2TBのUSB外付けハードディスクの物理障害の場合、次のように記載されているケースがあります。

  1. 解析作業料金:100,000円
  2. 修復作業料金:100,000円
  3. 復旧希望データ復旧成功費:0円?200,000円
  4. 復旧先メディア料金:15,000円
  5. 送料:3,000円

『成功定義データ』に記載されたデータが一つでも復旧できた場合、それが例え、あなたが復旧希望しているデータ1000ファイル中の1ファイルだけであっても、税抜で218,000円の費用が発生します。

復旧希望データ復旧成功費が減額され0円でも、それだけの費用がかかるわけです。成功報酬型は『成功定義データ』の書き方ひとつで大きく変わってしまうので非常にリスクがあります。

成功報酬型のメリット

『成功定義データ』の書き方にもよりますが、その中のデータが一つも復旧できなかった場合、費用がかかりません。特殊なプログラムで作成したデータの場合、通常のデータ復旧会社では正常かどうかの確認作業はしてもらえません。

オフィス系のワードやエクセル、jpg拡張子の写真データや動画などは通常のデータ復旧会社でも正式な依頼前にチェックしてもらえるでしょうが、逆に言えば、損傷率などをチェックしてもらえない業者には、そもそも調査を依頼すべきではありません。

事前に、正式な復旧依頼前に「データの損傷度合い」を調査してもらえますか?と確認しておきましょう。

但し、企業オリジナルのプログラムを業者に発注し作ってもらっている場合など、ワードやエクセル、写真データとは違うため、確認作業がデータ復旧業者では出来ません。しかし、『成功定義データ』を作成している場合、その中に記載したデータが一つも復旧できなかった場合、一切の費用が無料になります。

そのため、一般的ではないプログラムで作成したデータの場合、成功報酬型のデータ復旧サービスを利用する価値があります。

古くからパソコンを導入している中小企業などの場合、独自の運行システムや製造プログラムを使っているケースがあります。

そのようなデータの場合、一般的なデータ復旧業者では損傷率が分からないケースがほとんどです。勿論、成功報酬型のデータ復旧会社でも同様ですが、契約自体が『成功定義データ』に書かれたデータが一つも復旧できなかった場合、費用がかかりません。ということになっているので、万が一、復旧出来ていなかった場合には業者への支払を拒否することができます。

成功報酬型タイプのデータ復旧業者のメリットは少ないのですが、唯一、企業オリジナルのプログラムを業者に発注しデータを保存してあった場合には非常に有効です。

成功報酬型のデメリット

ワードやエクセル、写真データなどの通常プログラムで作成したデータの場合、特に成功報酬型データ復旧サービスにこだわる必要性はありません。何故なら、通常のデータ復旧サービス会社でも確認作業を依頼すれば、ほとんどの業者では対応してくれるからです。逆にいえば、依頼者の希望に応えてくれないデータ復旧業者に依頼すべきではありません。

復旧したいデータのファイル名やフォルダ名が曖昧な場合、成功報酬型データ復旧サービスでは損をする可能性があります。例えば、「Cドライブのマイドキュメント内のエクセルやワード、デジカメの写真画像などのデータを復旧希望しています」などと『成功定義データ』に書いてはいけません・・・。

でも、残念がら非常に多くのユーザーがフォルダ名やファイル名を覚えていない、またはメモ帳やエクセルなどに控えていないのが現状です。そもそも、成功報酬型は数枚の限定的なデータを復旧するのに適したサービスなのです。

何故なら、一般的にマイドキュメント内データは膨大になります。数百ファイルなら、まだ良い方でしょう。通常は数千、数万ファイルもあります。家族の写真や子供の成長記録などの画像や動画を保存している場合、すぐに数千ファイルになります。

成功報酬型では、この数千、数万ファイルの内、1つでも復旧できれば支払義務が発生します。障害内容によって違いますが、「復旧希望データ復旧成功費」以外の項目すべてをデータ復旧業者に支払う必要があるのです。通常、「復旧希望データ復旧成功費」以外の項目すべて10万円から30万円程度はかかります。

そのため、『成功定義データ』の記載は慎重に考えなければいけません。基本はファイル名です。万が一、ファイル名が分からない場合には、フォルダ名を限定して記載する必要があります。

例えば「Cドライブのマイドキュメント内のエクセルやワード、デジカメの写真画像などのデータを復旧希望しています」などとは書かないで、「Cドライブのマイドキュメント内のフォルダ名「仕事」内にある「2016年」の中の5個のエクセルデータを復旧希望しています」と書いた方が『成功定義データ』としては正解です。

また、一番厄介なのは、成功報酬型の中でも前払い型です。一旦、業者に全額を支払い、『成功定義データ』に書かれたデータの復旧状況に応じてユーザーに返金するタイプだからです。後払い型でも結果は同じですが、特に個人ユーザーは前払い型にされるケースが多いので注意が必要です。

成功報酬型データ復旧サービスのまとめ

  1. 復旧したいデータのファイル名を完全に覚えている場合に有効
  2. 一般プログラムではない特殊なプログラムで作成したデータを復旧したい人向き
  3. 復旧したいデータのファイル数が10個程度と少ない場合に特に有効
  4. 『成功定義データ』が一つも復旧できなかった場合、一切の費用が無料
  5. データのファイル数が多く数十GB、数百GBになる場合には成功報酬型では意味がない
  6. ワードやエクセル、写真データなどの通常プログラムで作成したデータの場合メリットがない
  7. 『成功定義データ』に記載されたデータが1つでも復旧できた場合、例え1つしか正常でなくても数十万円の費用が発生
  8. 『成功定義データ』を曖昧な記載にすると後で高額な費用だけが発生

成功報酬型かどうかは企業のホームページを見ればおおよそ見当がつきます。大体の場合、「成功報酬」とか記載があります。元々データ復旧サービスは成功報酬なのでわざわざ書く意味があるのかどうか疑問ですが、成功報酬型では、『成功定義データ』、『成功定義ファイル』といった復旧成功の可否を判断する基準データを契約します。

万人の方におススメできるタイプではありませんが、調査・復旧を依頼する場合には、必ず細かなディレクトリー構造、フォルダ名、ファイル名を『成功定義データ』に書くようにしましょう。でないと後で高額な支払い義務だけが残りますヨ。

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